責任と思い遣りと



責任と思い遣りと

70歳代、男性。腰部脊柱管狭窄症により、手術を受けられた方です。
手術前は、腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状である、間欠性跛行が著明に認められました。 間欠性跛行とは、長時間の歩行が困難で、痛みや痺れなどが生じ、一時休憩することで症状が軽減し、再び運動が可能となることです。 男性も、手術前はこの症状があり、数メートル歩くと痛くて歩けなくなってしまう。といった状態だったそうです。そのため、もともとの趣味である、散歩をしながら写真を撮ることや、絵を描くことができなくなっていました。
手術を行い、ある程度の回復が見られたため、退院となりましたが、足の状態は回復段階にあり、もとの状態に戻ったというわけではありませんでした。 そのため退院当初は、歩行状態が不安定となり、転倒を繰り返していたそうです。
退院後も、デイサービスやプールに通われリハビリは継続して行っておられましたが、個別のリハビリがしたいとのことで、訪問リハビリが開始となりました。
私たちがリハビリを行うには、まずその方の体の状態を評価することから始まります。 その評価に基づいてリハビリの内容を決定していくのですが、男性の歩行状態を評価した際に、この方は装具をつけて歩くほうが良いのではないかと感じました。
装具をつけることに抵抗がある方もたくさんおられると思います。この男性も初めは装具に対して抵抗がありました。しかし、現在の体の状態に対する装具の必要性を説明し、ご本人にも理解していただいたうえで、装具を作ることに決めました。
数週間後、装具が完成し、装具をつけて歩行してみると明らかな変化が見られました。 歩幅が広がり、歩行スピードが向上したことで、今まで歩けなかった距離が歩けるようになりました。また、歩行が安定することで、歩きながら周りに目を向ける余裕ができます。 その結果、現在では以前からの趣味である、散歩をしながら写真を撮ったり、絵を描いたりすることができるようになっています。
一つの評価が治療につながり、その方の生活に変化を出せるリハビリの仕事が、とても楽しく、やりがいのある仕事だと思っています。 これからも、その方の目標を達成するために、私が出来ることを考え、生活に変化をだしていけるセラピストでありたいと思います。

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